化学及血清療法 研究所(化血研)のワクチン不正製造問題について

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ここ数日、化血研のワクチン製造過程に不正があったとニュースになっていますね。

血液製剤を10年超不正製造 化血研、記録も偽造 出荷停止処分

実際に予防接種を受けられる方々、あるいはお子さんたちに予防接種を受けさせる立場の親御さんには不安を持たれている方もおられるかと思います。

同社は7月にインフルエンザワクチンの製造実態と報告書との間に齟齬がある、として厚生労働省の確認作業を受けていました。この際は製品品質に影響のある重大な問題はなく、出荷前の国家検定にも合格したことから製品出荷再開になっていました。

化血研のインフルエンザHAワクチンに係る品質及び安全性等の確認について

厚生労働省医薬・生活衛生局資料
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000101894.pdf
今回は、上記新聞記事によると、
「厚労省や化血研によると、一九九〇年ごろから承認書に記載がない抗凝固剤のヘパリンを加えたり、添加物の量を変えたりしていた。少なくとも十年以上前から、承認書通りに造ったとする製造記録と、実際の製造記録を二重に作成。PMDAの調査の際に、ヘパリン添加の記載のない偽造記録を提示していた。

 化血研は九月に開かれた厚労省審議会で「ヘパリンを加えたのは、製造過程での効率を上げるためだった」と組織ぐるみの不正だったことを報告した。・・・」
ということです。

インフルエンザワクチンの時には、承認書にない薬剤を加えるといった事は報告されていないようですので、より悪質に見えますね。
化血研が国の承認なくいわば料理のレシピを誰にも言わず変えてしまったこと、そのことを正直に報告しなかったことについてはその原因を追及して改善が為されるよう望みます。

ただし、ヘパリンを使った製造過程がすべての製品で行われていたのかどうか、そのヘパリンが製品内に残るものなのかどうかについては当方では調べがついておりません。調査の過程で明らかになるものと思います。

また、今市場に出回っている製品は国の検定を合格したものであり、この製造過程不正による健康被害は今のところなさそうだとの事です(これも含めて調査中ではあるかと思いますが)。
セーフティーネットがしっかり効いていると考えていいのではないでしょうか。
そういう意味では不安は残るかとは思いますが、同社のワクチン接種自体を避ける必要は必ずしもないのではないかと紺谷は考えます。

このように、私の言葉が歯切れ悪い感じになってしまうのにはいくつか理由がありますが、
1番の理由は、ワクチン不足になったときに困るのが、今ワクチンを必要としている人たち、主に小さな子供たちだからです。 化血研が製造しているワクチンは以下の通りです。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000101912.pdf

この中で、4種混合ワクチン、日本脳炎ワクチンは定期接種化されています。また、B型肝炎ウィルスワクチンは来年度以降に定期接種化が予定されていて、最近ニーズが増えています。この3種は同社製品が大きなシェアを占めており、現実に都市部で品不足が始まっているとも聞きます。

A型肝炎は海外渡航者の渡航前ワクチンとしてよく接種されるワクチンです。海外長期滞在の際にはこれを打たないと入国が認められない国もあります。このワクチンは国内では化血研のみが製造しています。

海外からワクチンを輸入するという手段もないではないのですが、厚生労働省はこれまで基本的にはワクチンを緊急輸入して国費で接種費用を賄うということをしたことがありません。3年前の風疹大流行の際にワクチン不足が実際に起こったときにも国は動きませんでした。
定期接種であれば窓口支払いなしで接種できるワクチンが自由診療でワクチンによりますが1本当たり1万円前後払わないといけなくなったら、接種する人が減ってしまう、それもまず経済的弱者の方から打たなくなることは目に見えています。 また、小さなクリニックが不良在庫化する可能性のあるワクチンを自由診療購入するのも勇気が要りますから、ワクチン接種事態を受けられるクリニックが減る可能性が高いです。

・・・・このような状況を想像してしまうと、単純に「化血研つぶれてしまえ!」とは言いにくくなってしまうのです。
極端なたとえですが、人質をとって立てこもった銀行強盗を前にした刑事の気分です(かっこよすぎ?!)。
犯人は憎いのですが、最終的な目的は人質の安全確保、その上でできれば犯人の逮捕、と考えるような。

今回の件も、これを機会にできれば将来に禍根を残さない組織改革が化血研に起こる事を望みます。