紺谷内科婦人科クリニック




紺谷内科婦人科クリニック 電話番号 076-268-3035

 

トップページ»  院長のブログ»  医療情報

医療情報

  • 件 (全件)
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4

麻しんについてまとめました。

久しぶりのエントリーです。本日は当市で起きている麻しんアウトブレイクについてです。


2015年にWHOから麻しん(はしか)の排除宣言が出た我が国ですが、昨年から海外で麻しんにかかった方が帰国後発症して局地的流行を起こすケースが全国で多発しています。

金沢市では、この4月上旬にインドで麻しんに感染した30代男性をきっかけに4月30日時点で3名の感染者が発生しており、先週ニュースでも取り上げられて公になりました。

今後、当院を含めた各医療機関に患者さんが受診する可能性があるため、患者さん向けに麻しんに関する情報提供パンフレットを作成しました。
せっかくなので、このブログでも公開しようと思います。内容に間違いなどありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

(以下引用)

麻しん(はしか)
~感染拡大予防のために知っておきたいこと~


4月7日、海外ではしかに感染した30代男性が小坂小学校の入学式に出席し、その後小学校教員など3人の二次感染が判明しています(4月30日現在)。

今後、感染がさらに広がらないようにするために、以下の事項を参考にしていただければと思います。


1.はしかとはどんな病気ですか?

:麻しんウイルスによる発熱と発疹を主な症状とする急性疾患です。インフルエンザより感染力が強く(空気感染します)、麻しんウイルスに対する免疫を持たない人はほぼ100%発病します。

2.はしかにかかるとどんな症状が出るのですか?

潜伏期、カタル期、発疹期、回復期をたどって治癒します。

A.潜伏期: ウィルスが体に入ってから症状が出るまで10日前後(8~12 日)です。

B.カタル期(3~4日):潜伏期の後、38~39℃台の発熱、咳、鼻汁、くしゃみ、結膜充血、目やに(カタル症状)が出現し、徐々にひどくなります。風邪との区別が難しい時期です。発熱3~4日目に頬粘膜に特徴的な白い斑点(コプリック斑)が出現します。
 

C.発疹期(4~5日):3~4日目にいったん熱が下がりますが再度熱が上がり(二峰性発熱)、同時に首・顔から体幹手足へと赤い発疹が出現します。カタル症状がさらに強まります。

D.回復期:熱は下り、カタル症状も落ち着き、発熱から7~9日で治癒します。発疹は色素沈着を残して治っていきます。
解熱後3日までは人にうつる可能性があります。 

経過をまとめた図がこちらです。「らいふのーと」の「麻疹(はしか)の症状と予防対策まとめ!感染経路や潜伏期間も調査」から引用しました。http://life-note.net/?p=538

http://life-note.net/wp-content/uploads/2016/09/zu.gif​
 

3.はしかは重い病気なのですか?

ワクチンがなかった時代は多くの人が命を落とす「命定め」と言われて恐れられました。

中耳炎、気管支炎、肺炎、脳炎といった合併症が知られています。

特殊な合併症として、はしかにかかって7~8年ほど経ってから発症するSSPE(亜急性硬化性全脳炎)があります。はしか罹患者の10 万人に1人が発症すると言われています。

4.はしかの治療法はありますか?

残念ながらはしかに対する根治療法は未だありません。発症した場合は、対症療法(つらい症状を減らす処置)が行われます。

脱水で全身状態がさらに悪化しないことが重要です。水分と栄養の補充、安静に心がけてください。呼吸状態や意識状態など全身状態を観察してください。

より詳しく知りたい方は、国立感染症研究所の啓発ビデオをご覧ください。

http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/Video/measlesVideo.html

下記サイトもまとまっています。「認定病児保育スペシャリスト」より

http://sickchild-care.jp/point/11161/2/

 

5.自分がはしかにかかっていないか、家族がはしかにかかっているのではないか心配です。

多くの方は、このように心配されているかと思います。以下をよくお読みください。


 

1)まずお電話を下さい。076-268-3035(当院電話番号)

直接クリニックや病院にこられる前にお電話でご相談ください。

もし本当にはしかにかかっていたら、病院内にいる人たちにうつしてしまう可能性があります。

一方、クリニックや病院にははしかをはじめとした感染症にかかった方が多く来院されます。はしかにかかるリスクはむしろ病院の方が高い(特に休日診療所、時間外外来)のです。

どうすれば良いか指示をいたしますので、まず電話で確認してください。


 

2)症状のほかに、患者との接触の有無、海外渡航歴、ワクチン接種歴、はしか罹患歴が大事です。

電話ではこれらの情報を確認させていただきます。上記情報をお持ちの上電話していただくとスムースに話が進みます。

I)患者との接触の有無:4/7小坂小学校の入学式に出席したか、その学童や父兄と接触があったか。いつ接触したかも重要です。

II)海外渡航歴:最近のはしか患者は、インドネシア(バリ島など)など東南アジアからの輸入感染者がほとんどです。経由地も含めていつどこに行ったかを教えてください。

III)ワクチン接種歴、はしか罹患歴:過去2回確実にワクチンを受けていれば感染する確率は低いです。また、確実な罹患歴(血液検査で診断されている、入院歴がある)があればほぼ100%かかりません。ご自身の母子手帳でワクチン接種記録を確認してください。


 

3)お車の中か、院内別室で待機してもらいます

はしか感染の可能性が高いと判断されたら、院外あるいは院内別室で待機していただきます。

近くに来られましたら再度お電話ください。こちらから受付手続きにうかがいますので指示に従ってお待ちください。


 

4)保健所から連絡があります

はしかが疑われた場合は、保健所を通した感染拡大予防対応が合わせて行われます。保健所職員とのやりとりがあります。ご協力をお願いいたします。


 

5)診察後の対応を指示いたします。

診察後の受診先や再診予定について、保健所と相談しながら決めていきます。基本的には、同じクリニックに引き続きかかっていただき、必要ならその医療機関からの紹介の上で病院に治療精査を依頼します。

しかし、週末や連休中あるいは夜間などやむを得ず他のクリニックや病院に受診が必要となった場合は、受診先に事前の電話連絡をした上で受診してください保健所に連絡が入っている旨も伝えてください。


 

6.もしはしかにかかったらどう過ごしたらいいでしょうか?

4.で書いたように、はしかの特効薬はありません。症状を抑えるお薬を使いながらご自宅で安静にしておすごしいただきます。同居の方にうつさないようになるべく別室ですごし、接触を避けてください。


 

学校、幼稚園、保育園の出席停止期間は「解熱後3日が経つまで」となっています。社会人の方もこれに準じて休職をお願いします。


 

患者さんのご家族など濃厚に接触された方に発症予防目的の緊急ワクチン接種をお勧めすることがありますワクチン接種歴はしか罹患歴に応じて判断いたします。母子手帳でワクチン接種記録を確認しておいてください。なお、ワクチン接種は自費診療になります。


 

強い脱水、肺炎、脳炎といった重い合併症が疑われる症状がある場合(倦怠感が強い、口の渇きがひどい、尿が出ない、痰が増えてきた、息が苦しい、唇が紫色、呼びかけても反応しない、手足の動きが悪い、けいれん発作が出たなど)は、病院での対応、場合によっては入院が必要です。

通院しているクリニックあるいは病院救急外来に電話でご相談ください。


 

(文責:平成29年4月30日 紺谷内科婦人科クリニック院長 紺谷 真)(引用以上)

 

目に見えないものがじわじわ近づくようで不安になりますが、大事なのは

1)感染する可能性が高いところにみだりに近づかないこと。今の所それはクリニックや病院などの医療機関です。
2)というわけで、心配な時はまずお電話でご相談ください。
3)体調が悪い時は無理せず休みましょう。麻しんを学校や職場で広めない為に。
4)万が一麻しんにかかってしまったら、あなたから感染を広げないよう行動を控えましょう。医療機関や保健所がサポートします。

また、これを機会に、
麻しんワクチンの接種機会が少なかった20代から50代の方々はワクチン接種をご検討ください。

 

2017-04-30 21:57:50

コメント(0)

本年度のインフルエンザワクチンはチメロサール入りワクチンになります

ご無沙汰しております。
ちょっと早いですが、今年のインフルエンザワクチンに関する情報です。

当院では、例年チメロサールフリー製剤の接種を行ってしました。
しかし、今年度は4月の熊本地震の影響でワクチン製造企業全社ともチメロサールフリーワクチンの製造を見送ることになったため、チメロサール入りのワクチンを接種することになります。

「え?地震とワクチンがどう関係あるの?」と思われますよね。事情を説明いたします。

熊本県には昨年ワクチン不正製造で問題になった「化血研」の工場があります。
化血研は、昨年の不正で一部のワクチンの製造ラインが停止になっていますが、それ以外の定期接種ワクチンは生産を続けていました。昨年このブログでの記事をご参考ください。
http://www.kontaniclinic.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/66

以下上記ブログ記事から引用です。

>この中で、4種混合ワクチン、日本脳炎ワクチンは定期接種化されています。また、B型肝炎ウィルスワクチンは来年度以降に定期接種化が予定されていて、最近ニーズが増えています。・・・
>A型肝炎は海外渡航者の渡航前ワクチンとしてよく接種されるワクチンです。海外長期滞在の際にはこれを打たないと入国が認められない国もあります。このワクチンは国内では化血研のみが製造しています。
(引用以上)

これらシェアの大きいワクチンと化血研だけが作っているワクチンについては生産ラインを止められないわけです。
ここで今回の地震です。地震でダメージを受けた化血研としては、これらの重要なワクチンの生産に注力せざるをえなくなりました。その分のインフルエンザワクチン生産は他社(大阪微研、北里第一三共など)で増産することとなり、例年の必要本数は確保される見込みになったようです。

インフルワクチン供給「問題ない」 化血研被災で厚労省 朝日新聞デジタル 竹野内崇宏 2016年6月7日19時09分
http://www.asahi.com/articles/ASJ674T3YJ67ULBJ00D.html

その代わり、生産効率の劣るシリンジ製剤やチメロサールフリーワクチン生産が断念され、チメロサール入りのバイアル製剤のみを生産することになったわけです。

というわけで、今年度は輸入ワクチンを扱っている病院/クリニックを除いて全国的にチメロサールフリーのインフルエンザワクチンは接種できないことになります

ご承知おきいただけますようお願いいたします。

2016-06-24 17:22:24

コメント(0)

「ジカ熱」について

「ジカ熱」について

お久しぶりです。
今年は昨年とうって変わってインフルエンザの流行が遅れていましたが、石川県も1月第2週に流行の目安である定点観測期間当たり患者報告数が1を超えて流行入りしました。

 

さて、インフルエンザとは直接は関係ないのですがウィルス感染症つながりで、最近話題になっている新しい感染症「ジカ熱」について勉強してみました。
 

まずまとめを示します:

1.ジカ熱は蚊を媒介した感染症です。人から人には移りません

2.アフリカ、東南アジア、オセアニア、中南米に急速に広がっています。

3.潜伏期間は2-7日間です。

4.症状はデング熱など他の節足動物媒介感染症と似ています。微熱、関節痛、頭痛、皮疹、結膜充血などでデングと比べると軽度です。

5.診断は専門施設での特殊検査が必要です。かかりつけ医に相談してください。

6.特効薬はありません。発熱や痛みに対する対症療法で自然治癒します

7.予防が大事です。流行地では、蚊に刺されない工夫を最大限行いましょう。

8.妊婦がかかると、小頭症のリスクが上がると報告されました。流行地への不急の渡航は避けることをお勧めします。
 

さて、1月18日から19日にかけて、テレビや新聞などのメディア各社がニュースを一斉に報道したので耳にした方も多いかと思います。たとえば↓

 

中日新聞ウェブ版(2016年1月20日 00時25分) ブラジルで小頭症の子急増 妊婦のジカ熱感染と関連か

 【リオデジャネイロ共同】8月にリオデジャネイロ五輪が開かれるブラジルで、頭が通常より小さく知的障害を伴うこともある「小頭症」の新生児が急増している。保健省は、妊娠した女性のジカ熱感染との関連がみられると指摘。米疾病対策センター(CDC)は18日までに、妊婦にブラジルなどへの渡航延期の検討を求める勧告を出した。

 日本外務省も今月、海外安全情報を出して注意を呼び掛けた。ブラジルでは来月、カーニバルが各地で行われるが、観光への悪影響も懸念される。

 ジカ熱は蚊が媒介するジカウイルスによって起きる感染症で、昨年5月ごろからブラジルで流行している。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016011901001683.html

(引用以上)
 

今年オリンピックが開催されるブラジルのニュースですので、気になりますね。簡単な知識を持っておいて良いと思いますので以下ご参考ください。

 

 「ジカ熱」は、ジカウィルスによって起こる感染症です。「節足動物媒介感染症」のひとつで蚊が媒介します。デング熱、チクングニア熱、黄熱、その他ウィルス感染症ではありませんがマラリア(原虫)も蚊から人に移る節足動物媒介感染症です。

 ジカウィルスは1947年、アフリカ東部のウガンダにあるZika森林でのマラリア調査中に偶然見つかりました。その後、ウィルスがアフリカ大陸、南~東南アジアに存在していることが確認されましたが、2005年ごろまでは実際にジカ熱を発症した患者は散発的に報告される程度でした。

 2007年にミクロネシアのヤップ島でジカ熱のアウトブレイクがみられました。2013年にボラボラ島を中心としたフランス領ポリネシア(タヒチ島のある地域ですね)でのアウトブレイクは、クック諸島やニューカレドニアに波及しました。

 2015年6月にブラジルで発症例が初めて報告され、以後ブラジルを始めとした中南米諸国で報告が相次いでいます。ここ10年で広がってきた新興感染症といえます。地理的な広がりは、下記医学雑誌の論文にある図が分かりやすいです。(Zika virus: following the path of dengue and chikungunya? the Lancet 2015; 386: 243-244.  http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(15)61273-9 )

 

 症状はデング熱に似ています(デングについては以前に書いたブログ記事をご参考ください。http://www.kontaniclinic.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/61)。

・微熱、関節痛、頭痛、皮疹、結膜充血などです。比較的軽度のようです。

・潜伏期間は2-7日間です。

・デング同様人から人への感染はありません。インフルエンザやエボラ出血熱( http://www.kontaniclinic.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/58 )と違うところですね。

・デングと比べて結膜充血が高頻度に見られるようです。

皮疹はデング(や麻疹:熱が下がってから出ることが多い)と異なり、発熱中に出現することが多いです。

・デングで注意すべき血漿漏出症候群・出血性合併症(デング出血熱)の報告はありません。一般に予後は良好なようです。

・ギラン・バレ症候群という神経合併症が報告されています。

2015年のブラジルでのアウトブレイクでは、流行地における新生児の小頭症患者数が非流行地とくらべて75倍と高率であった、と報告されました。これを受けての上記報道、米国CDCの渡航延期勧告となったわけです。

 

 診断は、流行地への渡航歴と症状・身体所見を元に、血液あるいは尿中の遺伝子検査で確定します。この検査は保険診療では行うことができません。ジカ熱などの蚊媒介感染症が疑われたら受診した医療機関から各地域の専門医療機関に紹介受診していただくことになります。かかりつけ医にご相談ください。

http://www.kansensho.or.jp/mosquito/general.html

 また、旅行から帰国の時であれば、空港や港の検疫所で相談を受けてもらえます。

http://www.forth.go.jp/link/index.html

 

 治療です。これまたデング同様、ジカ熱自体に効く特効薬はありません。発熱や痛みなどに対症療法を行います。症状は3日から12日でおさまるようです。デング同様、脱水を避けるため十分水分塩分を取ること、鎮痛解熱にアセトアミノフェンが推奨されることが重要です。

 予防です。ワクチンはまだありません。これまたこれまたデングと同様流行地で蚊に刺されないようにしましょう。虫よけスプレー(DEET)を使う、皮膚の露出の少ない衣服を着る、蚊帳を使う(ジカ熱やデングを媒介するヤブカは都市部に生息していますので、ホテルにもいます)ことが大事です。

 

 最後に、小頭症について補足します。

 小頭症 microcephalyは、これまでもTORCH症候群の一症状として知られていました。TORCH症候群とは、妊婦(特に妊娠初期(0~3ヶ月))がある種の感染症にかかった時に胎児に起きる先天性異常のことです。TORCHは、原因になる病原体の名前の頭文字をとったものです。最近風疹の流行に伴って注目されている先天性風しん症候群はTORCH症候群のひとつです。以下のサイトが参考になるかと思います。

先天性トキソプラズマ&サイトメガロウィルス感染症 患者会「トーチの会」 http://toxo-cmv.org/about_meisyo.html

 

 新生児の小頭症と精神運動発達遅滞との関連が知られていますので、ブラジルのジカ熱流行で精神運動発達遅滞を持つ児が増えることが懸念されます。裏を返せば、TORCH症候群同様、ジカウィルスへの感染が避けられれば、小頭症ひいては精神運動発達遅滞を持つ児を増やさずにすむ可能性が高いわけです。

 

 遠い世界の話に思えてしまいますが、ブラジルは今年オリンピックがありますので渡航される方々が増えるでしょう。さらに、ミクロネシア・ポリネシアなどのオセアニア諸島は観光や新婚旅行先に選ばれることが多いようです。妊婦さんやハネムーンベイビーを期待して旅行される予定の方々は、旅行先の変更をご検討することをお勧めします。

海外の感染症情報は、厚労省検疫所のHP、FORTHが詳しいので、ごらんいただき参考にしてください。http://www.forth.go.jp/index.html


まとめのまとめ:ジカ熱は比較的軽い病気ですが、妊婦さんがかかると赤ちゃんに障害を残すリスクが上がります。感染を避けるため流行地への渡航は慎重にご検討ください。

 

追伸:この記事は、以下のサイトなどを参考に作成しました。

・国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター 国際感染症対策室

http://www.dcc-ncgm.info/topic/topic-ジカ熱/

DCC zika factsheet 20160120.pdf :上記サイトからダウンロードできます。

・「What's Zika?」ジカ熱を知り、ジカ熱に備えよう! 上記センター 忽那賢志医師が作成したスライドです。

http://www.slideshare.net/kutsunasatoshi/ss-55861933

 

 

 

2016-01-22 14:17:32

コメント(0)

化学及血清療法 研究所(化血研)のワクチン不正製造問題について

ここ数日、化血研のワクチン製造過程に不正があったとニュースになっていますね。

 

血液製剤を10年超不正製造 化血研、記録も偽造 出荷停止処分

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015110502000143.html

 

実際に予防接種を受けられる方々、あるいはお子さんたちに予防接種を受けさせる立場の親御さんには不安を持たれている方もおられるかと思います。

 

同社は7月にインフルエンザワクチンの製造実態と報告書との間に齟齬がある、として厚生労働省の確認作業を受けていました。この際は製品品質に影響のある重大な問題はなく、出荷前の国家検定にも合格したことから製品出荷再開になっていました。

 

化血研のインフルエンザHAワクチンに係る品質及び安全性等の確認について

厚生労働省医薬・生活衛生局資料

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000101894.pdf

 

今回は、上記新聞記事によると、

厚労省や化血研によると、一九九〇年ごろから承認書に記載がない抗凝固剤のヘパリンを加えたり、添加物の量を変えたりしていた。少なくとも十年以上前から、承認書通りに造ったとする製造記録と、実際の製造記録を二重に作成。PMDAの調査の際に、ヘパリン添加の記載のない偽造記録を提示していた。

 化血研は九月に開かれた厚労省審議会で「ヘパリンを加えたのは、製造過程での効率を上げるためだった」と組織ぐるみの不正だったことを報告した。・・・」

ということです。

 

インフルエンザワクチンの時には、承認書にない薬剤を加えるといった事は報告されていないようですので、より悪質に見えますね。

化血研が国の承認なくいわば料理のレシピを誰にも言わず変えてしまったこと、そのことを正直に報告しなかったことについてはその原因を追及して改善が為されるよう望みます。

 

ただし、ヘパリンを使った製造過程がすべての製品で行われていたのかどうか、そのヘパリンが製品内に残るものなのかどうかについては当方では調べがついておりません。調査の過程で明らかになるものと思います。

 

また、今市場に出回っている製品は国の検定を合格したものであり、この製造過程不正による健康被害は今のところなさそうだとの事です(これも含めて調査中ではあるかと思いますが)。

セーフティーネットがしっかり効いていると考えていいのではないでしょうか。

そういう意味では不安は残るかとは思いますが、同社のワクチン接種自体を避ける必要は必ずしもないのではないかと紺谷は考えます。

 

このように、私の言葉が歯切れ悪い感じになってしまうのにはいくつか理由がありますが、

1番の理由は、ワクチン不足になったときに困るのが、今ワクチンを必要としている人たち、主に小さな子供たちだからです。

化血研が製造しているワクチンは以下の通りです。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000101912.pdf

 

この中で、4種混合ワクチン、日本脳炎ワクチンは定期接種化されています。また、B型肝炎ウィルスワクチンは来年度以降に定期接種化が予定されていて、最近ニーズが増えています。この3種は同社製品が大きなシェアを占めており、現実に都市部で品不足が始まっているとも聞きます。

 

A型肝炎は海外渡航者の渡航前ワクチンとしてよく接種されるワクチンです。海外長期滞在の際にはこれを打たないと入国が認められない国もあります。このワクチンは国内では化血研のみが製造しています。

 

海外からワクチンを輸入するという手段もないではないのですが、厚生労働省はこれまで基本的にはワクチンを緊急輸入して国費で接種費用を賄うということをしたことがありません。3年前の風疹大流行の際にワクチン不足が実際に起こったときにも国は動きませんでした。

定期接種であれば窓口支払いなしで接種できるワクチンが自費でワクチンによりますが1本当たり1万円前後払わないといけなくなったら、接種する人が減ってしまう、それもまず経済的弱者の方から打たなくなることは目に見えています。

また、小さなクリニックが不良在庫化する可能性のあるワクチンを自費購入するのも勇気が要りますから、ワクチン接種事態を受けられるクリニックが減る可能性が高いです。

 

・・・・このような状況を想像してしまうと、単純に「化血研つぶれてしまえ!」とは言いにくくなってしまうのです。

極端なたとえですが、人質をとって立てこもった銀行強盗を前にした刑事の気分です(かっこよすぎ?!)。

犯人は憎いのですが、最終的な目的は人質の安全確保、その上でできれば犯人の逮捕、と考えるような。

 

今回の件も、これを機会にできれば将来に禍根を残さない組織改革が化血研に起こる事を望みます。

2015-12-05 08:40:44

コメント(0)

今年のインフルエンザ・ワクチンについて私見(今さらながら・・・)

超久しぶりの投稿です。何かと慌ただしくやっと余裕ができました・・・・

さて、今更感が漂いますが、今年のインフルエンザワクチンについて私見を述べてみたいと思います。

トップページの「トピックス」でお伝えしておりますとおり、今年から我が国で流通するインフルエンザワクチンが3価から4価になりました。
我が国にはワクチンを製造している会社が数社ありまして、一斉に同じものに切り替わりました。そして、なぜか販売価格も各社ほぼ同じで昨年の約5割り増しとなりました(自由競争のはずなんだけどなあ・・・・?!)。

そのお陰で、当院含め多くの医療機関がワクチン接種の料金を値上げせざるを得ない状況になりました。
当院では、一回あたり1000円の値上げになりました。

さてそれはそうとして。
今年米国のCDC(我が国の厚生労働省に相当する国家機関)が、生後6ヶ月から8歳までの小児は、前年までに2回以上予防接種を受けている場合は1回の接種でよい、との方針を出しました。
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6430a3.htm#Fig1

(我が国では13歳まで2回接種となっていますが、米国では9歳以上は1回でよい事になっています。)
これは、2009年のいわゆる新型インフルエンザ(H1N1pdm09)の出現後5年でウィルスの流行パターンが変わっておらず、この5年間のワクチン接種で国民にある程度免疫がついたとの判断からのようです。

厚生労働省は公式に見解を出しておりませんが、通常米国と我が国のインフルエンザの流行パターンは一致するため、我が国でも同様のプラクティスで構わないかも知れません。
つまり、

1)1歳から12歳までの小児で、2009年から昨年までに2回以上予防接種を受けている児は今年1回でいいかも知れない、
2)6ヶ月以上1歳未満の児は今年が初めてのはずなので今年は2回接種が望ましい

といった感じになります。これに加えてCDCの推奨にはありませんが個人的には、

3)重症化の高リスクである児(5歳未満なかでも2歳未満の乳幼児、心臓、呼吸器、糖尿病などの慢性疾患・先天性疾患を持つ人、施設入居者(集団感染のリスクが高い)など)は2回の方がいい・・・?
4)成人の高リスク者(65歳以上の高齢者、妊婦、糖尿病、気管支喘息、認知症などの慢性疾患、施設入居者など)で過去の接種回数が明らかでない人も2回接種を考慮?
と考えています。

ただし、米国と我が国とでは以下の違いがあることを考える必要があります。

1)米国ではすでに以前から4価が出回っていたのに対して、我が国では4価の接種が始まるのが今年が初めてであること。
:今年初めてなのだからやっぱり2回打っておくべきでは?という考え方は当然ありますね。

ただし、専門家のなかには、今年増えたのはB型だが、B型インフルエンザはもともとワクチンの効きが悪いので、あまり変わりはないのでは?という意見(→したがって、効果もあまり増えないだろうし、値上げするのは腑に落ちない、という意見も・・・)を聞いたりします(科学的根拠は調べられてません。伝聞の話ですいません。)。

2)米国では、4価に総入れ替えではなくて、従来の3価ワクチンや皮内接種用ワクチン、さらに点鼻の生ワクチンとさまざまな種類のワクチンが流通しているようです。そういう状況の国と我が国を単純に比較できるのか?

3)そして、価格の問題は無視できないですね。2回接種だと当院の場合一人当たり例年より2000円増しです。お子さんが2人3人おられるご家庭では結構な負担になります。


というわけで、「1回打ちと2回打ちとどっちがいいの?」と聞かれて単純にどちらかと答えるのは今年は大変難しい・・・・

個人的には、
1)高リスクのお子さんには2回でお勧め
2)注射が嫌いなお子さんはまあ1回にしておきましょう
3)お金のことも考えてみてください。経済的にきついなあと思ったら1回でもいいですよ。
4)4価に増えた、というところに価値が見いだせる方(たとえば受験生やそのご家族など)には2回でも構わないですよ、それだけの効果があるか保証はできませんけど・・・・

という感じでお話しています。ご参考になればと思います。
また、医療関係者の方、この記事で間違いや事実誤認、「私はこうしてますよ!」などありましたら是非お知らせください。

2015-11-23 01:24:54

コメント(0)

デング熱について勉強しました

8月27日に、厚生労働省が「戦後初の国内発症デング熱患者が確認された」と報告し、各種メディアでも報道がなされました。

その後、感染者報告数は増え、9月10日時点で東京都内を中心に96名が報告されています。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dengue_fever_jirei.html

 

テレビなどを見ていると「未知のウィルスが日本に!」「重症化すれば死ぬこともある恐ろしい病気!」みたいな報道もあって、不安になる方がいるかも知れませんね。

今回、私の勉強も兼ねてブログ記事にしてみました。

 

まず要点は以下の通りです。

1.デング熱は蚊からうつるウィルス感染症です。

2.蚊から人にうつりますが、人から人にうつることはありません。

3.刺されてから発症するまでの帰還(潜伏期間)は3日から7日間です。

4.高熱、頭痛、筋肉痛、吐き気、皮疹、出血斑などが主な症状です。

5.症状は激烈ですが、ほとんどの人は7日間程度で治ります。

6.腹痛、繰り返す嘔吐、胸水・腹水、粘膜出血、昏睡・不穏、肝腫大、検査データ上血小板減少や血液濃縮所見重症化の警告徴候です(WHOガイドラインより)。

7.治療は、輸液を中心とした支持療法が主体です。

8.予防が大事です:蚊に刺されない工夫をしましょう。

9.巷で噂されているほど危ない病気ではありません。

 

以下、各項目に追加です。

1.フラビウィルス属に属するデングウィルスが原因です。フラビウィルス属には、日本脳炎ウィルスやサッカーワールドカップの開催地ブラジルなどで流行している黄熱ウィルスも含まれます。

デング熱を発症するデングウィルスには4種類(DEN-1,DEN-2,DEN-3,DEN-4)あることが分かっています。一度デング熱にかかってもすべてのウィルスに免疫ができるわけではなく、他の血清型で再度感染することがあります。

今回国内発症した患者さんから分離されてるのはすべてDEN-1とのことです。

 

2.蚊の中でもヤブカが媒介します。ヤブカのうち、デング熱が蔓延している東南アジア諸国ではネッタイシマカが多いのですが、我が国には土着していないとされています。我が国に生息しているヒトスジシマカもデングを媒介します。

したがって、デング熱の予防には「蚊に刺されないようにする」「蚊が増えない環境を保つ」ことが重要です。

 

冒頭に「戦後初の・・・」と書きましたが、実は第二次世界大戦中に、九州を中心に1万人単位のデング熱流行が起こったことがあります。当時の厚生省の指導で、蚊の発生予防対策と殺虫剤(蚊取り線香)の使用の徹底等で流行の抑え込みに成功しています。


デング熱の拡大を防ぐ ~蚊に刺されない生活習慣を

http://apital.asahi.com/article/takayama/2014090500001.html

 

3.潜伏期間は最長14日程度ということで、流行地滞在から発症まで15日以上経っている場合は、デング熱の可能性は非常に低くなります。(似た話はエボラ出血熱の記事でも書きましたね。)

 

4、5.デング熱は通常、高熱で発症して引き続き強い頭痛、眼痛、筋肉痛を起こします。筋肉痛は「骨まで痛むような」強いものだそうで、'break bone fever'(「骨折り熱」という感じでしょうか)との俗称があります。

熱は3日から6日続き(しばしばいったん解熱してから再度上昇する二峰性パターンを取ります)、解熱した頃に皮疹が出ます。かゆみを伴うことが特徴だそうです。

皮疹は麻しん(はしか)と似ることがあり、区別が問題になることがあります。診断上の困難を避けるために麻しん風疹混合ワクチンを受けられることをお勧めします。

 

6.デング熱の検査上の特徴は、白血球と血小板の減少、CRPが高くないことなどです。血小板減少は出血を起こしやすくし、強い炎症反応に伴って毛細血管から血漿(血液中の非細胞成分)が漏れ出しやすくなります。

これらは自然に良くなることが多いのですが、一部の患者さんは血管内脱水が強くなって、血圧低下から循環不全、臓器障害を伴って重症化します。この状態になるとデング出血熱と呼ばれます。

 

7.今のところ、我が国ではインフルエンザ迅速キットのようにすぐデング熱と診断できる検査はありませんが、問診(流行地(東南アジア、中南米など)への2週間以内の渡航歴の有無など)身体所見、そして上に挙げた一般検査の経過を追うことで診断に至ることは可能です。大事なのは、発熱後の経過を数日追いかけて重症化徴候がないか慎重に見ることです。

次は治療について。直接ウィルスに効く薬はありませんが、基本的には血管内脱水に対して十分な補液(経口または点滴)を行い循環を保つことができればほとんどは自然治癒していくわけです。

ただし、痛み・発熱に対して十分な手当が必要ですが、アスピリンは出血を助長することと、特に小児においてはライ症候群(急性脳症を起こす重篤な病気)の発生率を上げる可能性があることから使用してはいけません。市販薬を購入するときは注意してください。
小児の解熱鎮痛に良く使われるアセタミノフェンが無難なようです。

十分な補液にも関わらず重症化徴候が見られる場合は入院を考慮することになります。

 

8.2.でも触れましたが、感染を媒介する蚊に刺されない、蚊を増やさない環境を作ることが大事です。

肌の露出を少ない服を着る、虫除けのDEET入りスプレーを使う。

水たまりを自宅の周りに作らない:廃棄タイヤの中の水たまり、空き缶、花瓶、ゴミ箱、使い捨てコップ・・・

 

9.国や地域によって異なりますが、デング熱患者報告数に対するデング出血熱患者数の割合は1%未満から5%未満程度のようです。2回目の感染ではデング出血熱への移行リスクが10倍程度上がるといわれており、蔓延地域ではそれを含めてのこの数字ということになるかと思います。

WHOの統計などによると、デング出血熱の死亡率は最大15%程度ですが適切な治療を受ければ1%未満に減らせます。エボラ出血熱のウン10%という死亡率から見るとずいぶん低いですね。

エボラウィルスとちがって、感染者のほとんどがデング熱で済みます(95〜99%以上)し、不顕性感染(感染しても症状が出ず治ってしまうこと)もそこそこあるそうですから、もし体にデングウィルスが入っても重症化する確率はかなり低いと言えそうです。

人から人への感染はないウィルスですからここも安心ポイントですね。

 

以上です。例によって長文となってしまいましてすいません。

この記事は、下記サイトを参考に作成しました。ご意見、間違いのご指摘等いただけましたら幸いです。

 

藤田保健衛生大学救急総合内科ブログ

http://fhugim.com/?p=2383

感染症・リウマチ内科のメモ 聖霊三方原病院(静岡県浜松市)の勤務医ブログ

http://blog.goo.ne.jp/da350350350/e/a7da2f75b44bf16cc7ae651302fedefa

 

厚生労働省 デング熱に関するQ&A

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dengue_fever_qa.html

 

Dengue guidelines, for diagnosis, treatment, prevention and control new edition 2009

http://whqlibdoc.who.int/publications/2009/9789241547871_eng.pdf?ua=1

CDC Yellow Book Chapter3-Dengue

http://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2014/chapter-3-infectious-diseases-related-to-travel/dengue

Dengue in Japan? (国際感染症センター 忽那賢志医師が作成されたスライドプレゼンテーションです。医療者向け)

http://www.slideshare.net/kutsunasatoshi/dengue-in-japan-30691317

 

2014-09-11 12:15:27

コメント(0)

10月から、水痘ワクチンと成人用肺炎球菌ワクチンが定期接種となります。

来る10月1日から、水痘ワクチン成人用肺炎球菌ワクチンが定期接種となります。

 

 

水痘ワクチンは、「生後12ヶ月から36ヶ月に至るまでの間(1歳から2歳)に、3ヶ月以上の間隔をあけて2回 」となっております。

任意接種を1回済ましているお子さんは1回だけとなります。


経過措置として、来年平成27年3月31日まで生後36ヶ月から60ヶ月未満(3歳から4歳)のお子さんに1回だけ接種できます。2回目は自費接種となります。

下記サイト(よその医院のHPですいません)もご参考ください。

http://www.inabakids.com/2014/02/new_3.html

 

過去に任意接種助成を受けた回数に応じて金沢市から接種券が送られてきますのでご確認ください。不明の点は各医療機関にお問い合わせください。

 

この定期接種化にともない、1歳から4歳のお子さんは従来行われてきた金沢市の助成(乳幼児任意予防接種費助成制度:一回につき1、000円)が10月1日以降受けられなくなります。

http://www4.city.kanazawa.lg.jp/23030/iryou_jyosei/yobou.html

助成制度自体は継続になります。定期接種対象でない、10月1日以降5歳から6歳のお子さんは、7歳の誕生日前日までひきつづき上記の助成が受けられます。併せて接種をご検討ください。

 

ちなみに、水痘ワクチンは同時接種が可能です。1歳になったら麻しん風疹ワクチンとの同時接種をお勧めします。



成人用肺炎球菌ワクチン(23価多糖ワクチン)の対象は65歳の成人あるいは60歳以上で免疫機能の障害などを有する方です。
平成30年度まで70歳以上の方にも5歳刻みで(75、80、85、、、)接種が可能です。
金沢市では、こちらは10月15日からの接種が対象となっています。それ以前に接種しますと、任意接種扱いとなり自費支払いをいただくことになりますのでご注意ください。
また、既に接種を終えられている方は対象外となります。下に示すように、免疫不全を有する方を除いて再接種の有効性は示されていませんのでご注意ください。

以上ご参考いただき、ぜひ接種をご検討ください。
ご不明の点がありましたら各医療機関あるいは保健所までお問い合わせください。

さて、ここからは追加のコメントです。

今回、いつも参考にしている米国CDCの推奨をチェックしてみました。

まず水痘ワクチンについて。

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr5604a1.htm

水痘(水ぼうそう)は水痘ウィルスによって起こる感染症です。神経につくウィルスで、脳炎などの重い合併症を起こすことがあります。特に、アスピリンを始めとした大人用の解熱鎮痛剤を服用中の方ではライ症候群という致死的な脳の合併症を起こす可能性が高くなります。よくある病気ですが、決して甘く見てはいけません。

空気感染を起こす感染力の高い感染症で、保育園や託児所などで一緒に過ごすお友達がかかると、免疫を持っていなければ高率に感染します。

水痘ワクチンは日本で開発された生ワクチンです。3ヶ月の間隔で2回接種するとほぼ100%十分な免疫が得られます。1回では85%程度、つまり15%=約7人に一人が免疫を得られないことになります。

院長個人としては、費用の問題がありますが、未感染のお子さんに2回接種されることをお勧めいたします。

 

次に成人肺炎球菌ワクチンについてです。

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5934a3.htm

米国では小児の肺炎球菌ワクチンの普及によって、小児の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD:細菌性髄膜炎、肺炎、敗血症)が減ったのみならず、成人、高齢者のIPDも減少しています。いわゆる集団免疫(herd immunity)の効果です。

成人への接種によるさらなる効果が期待されて、米国では65歳のすべての成人に成人肺炎球菌ワクチン(PPSV23:小児のものとは異なります)の接種を生涯に1回推奨しています。

追加接種については追加効果が不明のため、免疫不全のある方(無脾症、摘脾術後、リンパ腫などのがん患者、免疫抑制剤の長期服用者など)以外には推奨されていません。

一方、慢性心臓疾患(心不全、心筋症など)、慢性肺疾患(肺気腫、気管支ぜんそく)、糖尿病、アルコール依存症、慢性肝疾患そして喫煙者は19歳から64歳の間に接種することを推奨しています(我が国では任意接種の対象になります)。

また、肺炎発生率全体や死亡率が減るわけではないことは確認しておいてよいでしょう。

 

以上参考になればと思います。

2014-08-20 16:43:49

コメント(0)

エボラ出血熱について

昨日8月8日、WHO(世界保健機関)は西アフリカ諸国で起きているエボラ出血熱のアウトブレイク(比較的限局した地域内の流行)に対して「非常事態宣言 public health emergencies of international concern」を発表しました。直訳すると、「国際的に懸念される公衆衛生学的緊急事態」という感じでしょうか。かえっておどろおどろしくなってしまいましたが・・・
 
「非常事態宣言」には定義があって、以下に当てはまる場合に発令されるそうです。
1.疾患が国際的に広がり、他国の公衆衛生上のリスクとなりうる。
2.その対応に国際的な協力が必要な可能性がある。
 
つまり、現時点で他の国に影響が及んでいるわけではないけれども、そうなる可能性があるので協力して速やかに対応できる体制を作りましょう、ということですね。
 
私たちがやっておくべきことは「過剰におびえることは無いけれども、エボラ出血熱という病気についてちょっと勉強して予防法/対処法を頭に入れておきましょう」になるかと思います。
 
例によって米国CDCの「エボラについてのQ&A」からです。
http://www.cdc.gov/vhf/ebola/outbreaks/guinea/qa.html

・ エボラウィルスはウィルス性出血熱の原因の1つです。症状には、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、脱力感、下痢嘔吐、腹痛、食欲低下、異常な出血があります。ウィルスに感染してから発症するまでの期間潜伏期)は2から21日で、多くは8から10日で発症します
・ 感染経路:症状がでている感染者死体血液や体液(吐物、便、尿、唾、汗、精液など直接触れたりこれら体液がついたもの(注射針など)に触れることで感染するとされています。(訳注:西アフリカでは、葬儀の際に遺体に触れる習慣があるそうで、そこで感染が広がったのではないかと推測されています。)
・感染した動物(コウモリとされています)の体液や遺骸との接触で感染が起こる可能性があります。(訳注:アウトブレイクの起きている国でのみ起こりえる感染経路です)

空気感染はしません。(訳注:インフルエンザのような飛沫感染も起こしません
・ エボラウィルスのついた食べ物や飲み物を摂っても感染しません
潜伏期の人、つまり体にウィルスがいるけども症状がでていない人に接触しても感染しません。
 
つまり、人から人への感染が起きうる疾患ではありますが、インフルエンザやノロウィルスのように症状がでる前から人にうつることは無く、空気感染、飛沫感染、経口感染を起こしませんから、その感染の広がりやすさはかなり低いいうことです。
万一、通勤バスや電車の中に患者さんがいたとしても、その人がいきなり吐血したり嘔吐したりしてそれら体液に直接触れることが無いような状況以外では感染することはありません。
 
ということで、特別な対策は必要ありませんが、通常の感染症予防策を習慣づけておくことが重要です。
つまり、インフルエンザや感染性胃腸炎(ノロウィルス)の予防と同じです。仮に患者や死体に接触したとしても、
1.こまめに手洗いをしましょう。石けんを使って手の脂ごと洗い流しましょう。
2.吐物や下痢便の処理をしっかりと。ノロウィルスと同様次亜塩素酸(ハ◎ターなど)でウィルスは死滅するそうです。拭き取った体液はビニール袋にまとめて捨てましょう。使い捨て手袋の使用が望ましいですね。

以上を守れば大丈夫です。
 
最後に、現時点で我が国でのエボラ出血熱の可能性が高い人は、潜伏期を考慮して「流行地域(ギニア、シエラレオネ、リベリア、ナイジェリアなどの西アフリカ諸国)へ過去21日以内に渡航したことがある発熱、頭痛等の上記症状を有する人」になります。これに当てはまる方は、最寄りの医療機関または保健所に電話連絡いただき対応をご確認ください。
 

最後に、我が国の厚労省もホームページ上に一般向け情報を出しておりますのでご参考ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola_qa.html

*2014/08/10追加:情報を追加しました。緑色の斜体文字で示しています。
CDCが新たに公表したインフォグラフィックスへのリンクも示します。英語ですが、イラストが印象的です。
http://www.cdc.gov/vhf/ebola/pdf/west-africa-outbreak-infographic.pdf


 

2014-08-09 17:52:37

コメント(0)

側弯症の早期発見&先天性股関節脱臼の予防

久しぶりに投稿します。

先日、金沢市医師会の小児検診講演会に参加してきました。

毎年開催されているこの講演会、今年は整形外科疾患がテーマです。
今月2回に分けて側弯症と先天性股関節脱臼(今は医学的には発達性股関節脱臼(DDH)というそうです。生まれつきでないものがかなりあるということで)について講演がありました。

1.側弯症:
身長の伸びが急速になる時期に多く、なぜか女性がほとんどだそうです。したがって、小学生高学年から中学生で出現しやすいということです。そこでこの時期には検診があります。
脱衣下での前屈検査が検出に有効なのですが、
http://www.semoto.jp/sokuwan2.html#sc

裸になることに恥じらいを覚えるようになる微妙なこの時期は検診をしっかりすること自体が難しいというのが学校医の共通の悩みです。
そこで、上記リンクのようなチェックをご家庭でしていただけるといいのではないかと思います。
特に、ご両親も側弯症になったことがあるお子さんは側弯症になりやすいとされているので、しっかりチェックするといいと思います。

親御さんが見られて、気になるなと思ったら、本人に検診をしっかり受けて医師の評価を受けるようお話ししていただけるといいのではないでしょうか。あるいは、ご心配を担任の先生あるいは保健室の先生にお伝えいただくといいと思います。


2.先天性股関節脱臼(DDH)
乳幼児検診でチェックされることが多いです。左足に出やすく、女児に多く、これまた家族歴があると頻度が上がります。
股の関節の動きが少ないと起こりやすいので、足の動きを制限するようなきつい服を着せたり(講師の先生は、冬場に生まれた子供の方が頻度が高く、着衣の多さと関係があるようだ、と言っておられました)すると起きやすいそうです。
また、斜頚(向き癖)があると、顔の向きと反対側の足が立て膝になりやすく動きが少なくなってDDHを起こしやすいそうです。

日本小児整形外科学会が股関節脱臼予防のためのご家族向けパンフレットを提供しておりますのでご参考ください。
http://www.jpoa.org/公開資料/
このページ「先天性股関節脱臼予防パンフレット」をクリックするとダウンロードが始まります。
足の形がM字になるように対面で足を広げるように抱っこする「コアラ抱っこ」が推奨されています。

以上について気になる親御さんがおられましたら、当院にご相談ください。必要な場合は専門家への紹介をさせていただきます。

2014-08-01 10:07:18

コメント(0)

麻疹(はしか)ワクチンを受けましょう!

久し振りに投稿します。

昨日、東京都の東京医科歯科大学小児科病棟で麻疹(はしか)の患者さんが発生し、入院患者さんたちや医師に院内感染が広がっているとのニュースがありました。

CBニュース 2014年3月6日
はしか院内感染の疑い、小児病棟を一時閉鎖- 日本医科大付属病院、医師や患者が発症
日本医科大付属病院(東京都文京区)は5日、院内で麻疹(はしか)の患者が発生したとして、小児病棟を一時閉鎖したと発表した。医師1人と小児患者4人の感染を確認しており、厚労省や東京都、保健所に報告済み。院内感染の疑いがあるため、「感染防止と収束を確認するため、当分の間、小児病棟を一時閉鎖する」と説明。同病院の感染制御部が中心となって感染防止に努めているという。【新井哉】

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/42213.html

「また院内感染か!(怒」「病院は何やってるんだ!(怒怒」と思われるかも知れませんが、ちょっと一呼吸おいてください。

この事件から私たちが読み取るべきことは以下の2つだと思います。


1)麻疹がいかに強い感染力をもっているか、あらためて思い知らされます。

麻疹は、インフルエンザ同様ウィルス感染症で、「空気感染」します。つまり、空気中に漂った患者さんの痰や鼻水からも感染します。インフルエンザは「飛沫感染」で、空気中に漂う痰鼻水からは感染しません。麻疹のほうが感染力が強いのです。
 

さらに、麻疹ウィルスが体の中に入るとほぼ100%発症します。風しんが不顕性感染(ウィルスが体に入っても症状が出ない)が比較的多いのとくらべて対照的です(これはこれで感染拡大のリスクがあり怖いのですが)。
麻疹は
肺炎、脳炎などの重い合併症を起こしうる病気です。昔は「命定め」といわれて恐れられました。現在でも特効薬はなく、いったん発症すれば症状を抑えながら様子をみるしかありません。

2)成人にも免疫を十分持たず発症してしまう人がいます。

もう一点は、医師にも感染者が出たという事実です。

過去に我が国の麻疹ワクチン接種が手薄になった時期がありました。1989年に麻疹・おたふくかぜ・風しん混合ワクチン(MMR)が接種開始となりましたが、おたふくかぜワクチンによる無痛性髄膜炎の発症が問題になり、1993年からMMRは中止となりました。この年以降、麻疹ワクチンの接種が落ち込み、抗体保有率が低下しました。

下記国立感染症研究所の平成14年報告、図9〜11をご覧下さい。
この調査では、同時期の10代から20代にかけても抗体価が低めである事も指摘されています。
さらに、当時我が国では、世界的標準(1歳と6歳の2回)と異なり、定期接種は1回だけでありました。

http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/report2002/download/m_Fig.pdf

実際、平成19年に小学生から大学生にかけて全国的な麻疹の流行が発生したため、翌年急遽中学校1年生と高校3年生を対象にした定期接種が5年間行なわれました。
しかし、毎年全国で散発的に麻疹の発症がみられており、特に今年は例年より多いと報告されていたところでした。

http://www.asahi.com/articles/ASG2D7605G2DULBJ01T.html
国立感染症研究所 麻疹発生動向調査(2014年第8週)

前振りが長くなりましたが、もともと予防接種が終わっていない乳幼児以外にも、成人特に20代から30代の方々は麻疹の免疫を持っておらず、麻疹感染のリスクが高い人が多いという事です。


2’)麻疹の予防はワクチンが一番です。
結局この話に尽きるわけですね。
上記20代から30代の方々は、一昨年来流行が続いている風しんの罹患が問題になる年齢でもあります。あらためて、麻疹風しん混合ワクチンの接種をご検討いただければと思います。

2014-03-07 09:55:09

コメント(0)

  • 件 (全件)
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4